堅実な運行体制とともにニーズに応じた働き方を提供する。 西部運輸株式会社 信野隆さん(前編)

2024年問題を経て、大きな変化の時機にある物流業界。トラックドライバーの求める働き方も多様化する中、西部運輸株式会社は柔軟な対応を目指しています。総務人事部次長の信野隆さんに、これまでの取り組みや課題についてお話を伺いました。

ーTruck Heroesでは以前、西部運輸の女性ドライバーにインタビューさせてもらいましたが、子育てしながら働きやすい環境と話していました。2024年問題も含め、従業員の働き方にどのように取り組まれてきたのでしょうか?

信野:当社はいわゆる2024年問題と叫ばれる5年前から、改善基準告示を遵守する運行に切り替えてきたので、いざ2024年を迎えても問題なく対応することができました。労働時間が制限されると残業代にも響いてしまいますが、当社は給与水準を維持、向上させながら運行を続けられています

ただ、一時期は「ドライバーが走れば走るほど売上も上がるし給与も高くなる」と無理な運行をしていたことで、結果として業務に大きな支障が発生しました。そこからは、堅実な経営体制を目指して、法令を遵守しながら売上を上げることを重視してきました

たとえば関東から九州への運行であれば途中、サービスエリアなどでドライバーが交替します。1人で走っていたところを2人にするのはもちろんコストが大幅にかかるんです。しかし法令を守れない運行になってしまうとドライバー1人の力ではどうすることもできません。

だから荷主様に理解してもらえるよう、営業担当者が運賃の交渉を進めるなど、早い段階から取り組んできました。現在はその状況が定着していますね。

ーお話を伺った女性ドライバーの方は、限られた時間の中でも適切なアサインがあるとも話していました。

信野:人それぞれ働き方の希望が異なるんですよね。夜中に走る方が良いと言う人もいれば、午前中から昼くらいに終わりたい人もいれば、3日くらい家を空けても平気と言う人もいるので、入社時にヒアリングして、希望にマッチした仕事をアサインしています。希望と違ってすぐ退職となってしまうのは残念ですから。

また、入社時には長距離ドライバーを務めていたものの、家庭の事情により家を空けられなくなったので一度中距離や他の業務に転換した事例もあります。その後、お子さんが成人してまた長距離に戻れることになり、都度都度相談に応じて配置を変えてきました。

ー若手の採用は順調に進んでいるのでしょうか。

信野:社員全体の割合からするとまだまだ数は少ないのが実情です。入社時にAT免許や普通免許だけということもあるので、そこから1人でトラックに乗れるまでには育成に時間がかかります。

それでも最初はトラックに乗れなかったけれど今は大型トラックで長距離を運行しているドライバーもたくさんいるので時間をかけて育てています。もちろん女性ドライバーも男性に引けを取らないくらい活躍していますよ。

<後編はこちら>

(text by Yuka Shingai)