「物流業界の仕事」と聞くと、真っ先にトラックドライバーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
確かにドライバーは物流業界の重要な職種ですが、実はそれだけではありません。
データ分析のスペシャリストから国際貿易のエキスパート、最新技術を駆使するエンジニアまで、物流業界には驚くほど多様な職種が存在します。
もしかすると、あなたの持っているスキルや経験を活かせる分野があるかもしれません。
今回は、知られざる物流業界の職種について詳しく解説していきます。
業界の内側を知ることで、私たちの生活がいかに多くの専門職によって支えられているかが見えてくるでしょう。
物流業界の多彩な職種をのぞいてみよう
物流業界の職種は、大きく3つのカテゴリーに分けることができます。
それぞれの分野で高度な専門性を持つプロフェッショナルが活躍しています。
運輸・配送のスペシャリスト
荷物を「運ぶ」ことに関わる職種群です。
単純な運搬作業ではなく、安全性と効率性を両立させる高い技術力が求められます。
トラック運転手(ドライバー)
ドライバーは専門性によって細かく分かれています。
「集配ドライバー」が個人宅への配送を担当し、「ルート配送ドライバー」がコンビニや企業への定期配送を行います。長距離では「大型トラック運転手」が都市間輸送を、「中型トラック運転手」が地域配送を担います。

特殊分野では「冷凍車ドライバー」「危険物輸送ドライバー」「ダンプカー運転手」なども存在し、近年は女性ドライバーも増加しています。
配車担当者(ディスパッチャー)
物流の司令塔として配送計画を立てる重要な役割です。
道路状況、天候、荷物の量、ドライバーの勤務時間などを総合判断します。
GPS追跡システムや配送管理システムを活用して、運転手やスタッフと連絡を取りながらリアルタイムで最適化を図る仕事です。
運行管理者
ドライバーの安全運行を管理する国家資格職です。
運転時間管理、車両点検指導、運行ルート安全確認などを行い、法令遵守の観点からドライバーの健康管理や安全教育も担当します。
倉庫・物流センターで活躍する職種
商品の保管から出荷まで、物流の心臓部である倉庫・物流センターで働く専門職です。
最新のテクノロジーと人の技術を組み合わせた、高度な物流オペレーションを支えています。
倉庫作業員
商品の入荷、保管、ピッキング(商品選別)、梱包、出荷を担当します。
「フォークリフトオペレーター」として重機を操縦する専門職や、「ピッキング作業員」として正確性とスピードが求められる商品選別を行います。
近年は「WMS(倉庫管理システム)オペレーター」として、ハンディターミナルやタブレットを使用したデジタル作業が中心の現場も増えています。

物流センター管理者
倉庫全体の運営を統括する管理職です。
人員配置、在庫管理、品質管理、安全管理など幅広い業務を担当し、大型物流センターでは数百人のスタッフを束ねます。
「在庫管理責任者」「品質管理責任者」など専門分野に特化した管理職もあります。
品質管理・検査員
商品の品質を維持する重要な職種です。
「入荷検査員」として仕入れ商品の確認、「出荷検査員」として最終チェックを担当します。
食品業界では「食品衛生管理者」、医薬品では「薬事管理責任者」など業界特有の専門資格が必要な場合もあります。
物流エンジニア
物流業務全体の課題解決や効率化をシステムや設備の面からサポートし、現場のオペレーション向上を目指す職種です。
倉庫管理システムの設計や改良、自動仕分け機器の導入や管理などを担当します。
IT知識と物流知識の両方が求められる、高度な専門性を持つ技術職です。
デスクワーク中心の職種
物流業界にも、オフィス環境で専門知識を活かして働く職種が数多く存在します。
IT技術や国際貿易の知識を駆使し、物流システム全体を支える重要な役割を担っています。
物流企画・分析
ビッグデータを活用して物流システムの効率化を図る専門職です。
「物流データアナリスト」として配送ルート最適化や需要予測を行い、「サプライチェーン企画者」として全体戦略を立案します。
ExcelやPython、BIツールを使った分析業務が中心で、在宅勤務も可能な企業が多い職種です。
営業・顧客対応
法人顧客への物流サービス提案を行う「物流営業」と、個人顧客対応の「カスタマーサポート」に分かれます。
「物流コンサルタント」として企業の課題解決の支援や、「貿易事務」として国際物流手続きを担当する専門職もあります。
総務・経理・人事
物流業界特有の法規制や労務管理に対応する職種です。
「運輸業経理」として運送業特有の会計処理を担当し、「労務管理専門員」としてドライバーの労働時間管理を行います。
「物流法務」「安全管理統括者」など専門性の高い役割もあります。

物流不動産・施設管理
物流センターや倉庫の立地選定、設計、管理を行う専門職です。
「物流施設プランナー」として最適な倉庫レイアウトを設計し、「ファシリティマネージャー」として既存施設の効率運用を担当します。
進化し続ける物流業界
物流業界はかつて長時間労働や厳しい労働環境といったイメージを持たれがちでしたが、働き方改革関連法の施行や業界の意識改革により労働環境は大幅に改善されています。
ICT技術の導入で作業効率が向上し、多様な働き方も可能になりました。
また近年、ECの急速な普及や国際貿易の拡大により、物流業界の重要性はますます高まっています。
単純な「運ぶ」仕事から、データ分析、システム設計まで、高度な専門性が求められる職種が次々と生まれています。
物流業界の職種は想像以上に多様で専門的です。
私たちの日常生活を支える「縁の下の力持ち」として、多くのプロフェッショナルが活躍していることがお分かりいただけたでしょうか。
もしあなたが新しいキャリアを模索しているなら、物流業界で思わぬ可能性に出会えるかもしれません。
