ー岩本砂利さんは、どのような事業をされている会社ですか?
岩本 三希枝さん(以下、岩本):砂・砕石などの販売や運搬・産業廃棄物最終処分業および収集運搬業を行っています。私の父が立ち上げた会社で、15年ほど前に私が引き継ぎました。
ードライバーとのコミュニケーションで大事にしていることはありますか?
岩本:当社は従業員数も少なく、ドライバーさんは2名だけですが、資材の扱いには気をつけなくてはなりませんし、ミスがあってはいけません。私は社長業のほか、運行管理者としてドライバーさんと接しています。
乗務前・乗務後の点呼では、ドライバーさんの健康状態を表情や顔色などからも確認しています。点呼が終わった後には、天気やニュースの話題、時には、どこのラーメン屋さんが美味しいなど、いろいろな話題の雑談をします。ドライバーさんとの雑談は、非常に重要なコミュニケーションだと考えています。
私自身は、大型免許を取得しておらず、ドライバーとしての乗務経験はないんです。特に社長に就任してからは、あまりにもやるべき業務が多かったので、改めて大型免許を取得しに行くという選択はなかったのですが、仕事の優先順位を明確にした上で、配送業務は信頼できるドライバーさんにお願いしてきました。
ー経営者として、困難をどのように乗り越えてきましたか?
岩本:結婚して、3人の息子を授かりましたが、現在私はシングルです。会社を任されるようになってからは、本当にいろいろな事があり、ハードルだらけの日々でしたね。
シングルになった時は、息子が高3、中2、小5とある程度は大きくなっていましたが、そうは言っても3人抱えていると、もう毎日体当たりで臨んでいくしかなかったですね。でも、却ってそれがよかったような気もします。
というのも会社でとても気の重い出来事が起こってへとへとで帰っても、家には思春期真っ盛りの男子が待っているから、会社のことを考えてられないほどのインパクトがあるわけです。そうして、また会社に行くと家庭のことを忘れてしまうほどのことが起きて…の繰り返しで、ある意味うまいことバランスが取れていたのかもしれませんね。
これまで、周りの方々に支えていただきながら、なんとか乗り越えてきました。今では少々のことでは動じないほどの力がついた気がします。会社のこと、両親のこと、子供たちのことに、一生懸命、立ち向かっている姿を見て、「お母さんって、ジャンヌダルクみたいだね」と息子に言われたことは、すごく印象に残っています。
息子たちは皆、親元を離れましたが、定期的に一緒に食事をしたり、旅行に出かけたりしています。今はそれが一番楽しいです。
ー子育てがひと段落した今、仕事以外で楽しんでいることはありますか?
岩本:猫と過ごす時間は癒しです。事務所の倉庫で生まれて、トラックにひかれてはいけないと保護して、そのままうちの子になりました。
ー今後、事業のビジョンなどはありますか?
岩本:自分が経営者になってから、いろいろな経験をしながら、私らしい経営スタイルを 作ってきたと思っています。 ここまで、岩本砂利のスタッフをはじめ、支えていただいた方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。今後は、新しい価値観も取り入れながら、経営に取り組み、社会に貢献していけたらと思っています。
(text by Yuka Shingai)