「ここで働いてよかった」と思える柔軟な働き方を提供したい【株式会社倉橋商事 佐藤麻衣代表取締役社長】前編

Truck Heroesでは、運送・物流業界での多様な働き方を紹介しています。株式会社倉橋商事は佐藤麻衣代表取締役社長を筆頭に、多くの従業員が柔軟な働き方を体現しています。企業としての強み、今後目指していきたい姿などを佐藤さんに伺いました。

ー倉橋商事さんは、どのような事業を展開しているのですか?

佐藤麻衣 代表取締役社長(以下、佐藤)倉橋商事は、道路舗装業会社の前田道路株式会社から、アスファルト合材製造と運搬を委託されている会社です。私は大学卒業後は関東で食品会社に就職し、建設業・運送業とは無縁でした。

私の祖父である先代の社長たちも、私の弟を跡取りと考えていた時期があったのですが、弟は幼少期からの夢である特別支援学校の先生を目指すことになりました。

私も元々モノづくりに興味がありましたし、前田道路さんの島根合材工場で1年半ほど勉強させてもらってから、この仕事の面白さに目覚めました。

現在は私の母が会長職を務めているのですが、バックアップ体制を取れるように早めに社長を交代しようという意向から、私が令和3年より社長業を担っています。

ーご自身が家業を継ぐと決まったときに、戸惑いはありましたか?

佐藤:私は大学も理系でしたし、食品会社でも男女入り混じる中で、コンビニエンスストアの本部への企画提案をしていたので、男性だから、女性だからということはあまり考えたことはなかったですね。

もちろん運送業は男性が多い業態ですが、仕事で接する方も皆さん優しいです。

そして何より、インフラに関わる仕事ですから、世の中の役に立っている、縁の下の力持ちでいられるということに誇りを感じています。

ー佐藤さんが感じる、倉橋商事の強みはどのような部分ですか?

佐藤:近距離の建設現場に資材を運ぶ仕事がベースにあること、現場は日ごとの工事なので、区切りのつけやすさは特徴です。当社には女性ドライバーもいますし、時間単位で仕事をされるパートさんもいらっしゃいます。

また、現在は第2・4の土日、工場を閉鎖するため連休が確定しているので、私達の従業員も土日は休みです。基本的に工事って期間中に終わらせなくてはいけないのでスケジュール管理もきっちりしていますし、時間外の勤務が発生することも滅多にありませんから、柔軟かつ安定した働き方が選べることは強みだと思っています。

ー経営者となられて3年あまり、目指す姿はありますか?

佐藤:当社の会長は、社長として長く従事していたので、経営のノウハウを多く蓄積しています。会長は会計学を学び、数字に強い方なので、そこを学ぶことが、現場上がりの私の成長課題かなと感じています。

あとは、運送部門、製造部門も配車も全員が和気あいあいとできることが理想なので、人間関係も永遠の課題ですね。

現場で様々なことが起こっているのに、経営者の耳には入ってこない事態ってどの企業にもつきものかと思うのですが、困ったことがあったら、遠慮なく上に報告できる仕組みにしていきたいですし、やはり人間関係を大事にしなくてはいけないなと思います。

きっと多くの人が似たような経験をしていると思いますが、私も会社員時代にはいやいや会社に行っていたこともありました。今は経営者として、従業員を常にフォローできる体制にしたいですし、倉橋商事で働いてよかったなと思ってもらえる会社にしていきたいですね。

道半ばですが、私自身はやはり外で働いた経験があってよかったと感じています。自分で就職先を見つけて、雇われて、という経験をしたから、働く人の気持ちが理解できる部分もあるのかなと思っています。

<後編はこちら。>

(text by Yuka Shingai)