トラックドライバーへの転職を考え始めたとき、真っ先に浮かぶのは「本当にこの選択で大丈夫だろうか」という不安ではないでしょうか。
ネットで検索すれば、古い情報や偏った意見が目に飛び込んできます。
「長時間労働で休みがない」「2024年問題で稼げなくなった」「力仕事がきつそう」など。
そのような声を聞くと、踏み出す一歩が重くなるのも無理はありません。
実は2024年以降、物流業界は大きな転換期を迎えています。
働き方改革によって労働環境が見直され、賃金体系も変化し、現場の機械化も進んでいます。
かつての「きつい・汚い・危険」というトラックドライバーのイメージは、もはや過去のもの。
今回は、転職を考える方が本当に知りたい「給与・休日・労働時間」について、山口県に関するデータと業界の動きをもとに、プロの視点から正直にお答えします。
Q1:2024年問題で「稼げなくなった」って本当?
「労働時間が減ったら、給料も減るのではないか」。
これは転職希望者から最も多く寄せられる質問です。
確かに、時間外労働の上限規制が導入されたことで、残業で稼ぐスタイルは難しくなりました。
山口県内企業の7割以上が賃上げを実施
山口県内の企業調査(2023年5月)によると、過去1年以内に「既に賃金を引き上げた」と回答した企業は71.5%にのぼっています。
人手不足が深刻化する中、優秀な人材を確保するため、多くの運送会社が初任給の引き上げや給与体系の見直しを進めているのです。

注目すべきは、その中身。単に基本給を上げるだけでなく、「効率化手当」や「安全運転手当」といった新しい評価制度を導入する企業も増えています。
つまり、残業時間が減った分を、別の形で補う仕組みが整いつつあるということです。
適正運賃への転換が給与の土台に
業界全体で「適正な運賃交渉」の意識が高まっています。
燃料費や人件費の上昇分を運賃に転嫁する「価格転嫁」の取り組みが進み、特殊な技能やサービスに対して正当な対価を求める動きが広がっています。
これは、ドライバーの給与を支える土台になります。
長時間労働に頼らない給与体系へ
「2024年問題で稼げなくなった」というのは、一面的な見方に過ぎません。
むしろ、「長時間労働に頼らず、適正な給与を得られる環境」へと変わりつつあるのが、今のトラック業界なのです。
Q2:休みはちゃんと取れる?家族との時間は?
「トラック運転手=家に帰れない」というイメージがありませんか?
確かに、長距離ドライバーの中には泊まりがけの仕事もあります。
しかし実際には、地元で毎日帰宅できる「地場配送」や、決まったルートを走る「固定ルート配送」が大きな割合を占めているのです。
働き方改革で週休2日制が拡大中
2024年問題の本質は、「働き方改革」です。
2024年4月から、ドライバーの時間外労働に年960時間の上限が適用されました。
これは、業界全体が長時間労働を是正し、休日をしっかり確保する方向へと舵を切ったことを意味します。

結果として、週休2日制を導入する企業が増えています。
「土日は必ず休み」とまではいかなくても、月8日以上の休日を保証する会社は確実に増えています。
インフラ整備で定時性が向上
さらに見逃せないのが、インフラ整備による効率化です。
山口県では国道2号の富海拡幅をはじめとする道路整備が進められており、渋滞による遅延の解消や移動時間の短縮が期待されています。
これによって配送の時間が読みやすくなりました。
「今日は18時に終われそうだから、夕飯は家族と一緒に食べよう」といった予定が立てやすくなるのです。
ワークライフバランスを重視できる環境へ
家族との時間を大切にしたい。
そう考える方にこそ、今のトラック業界は選択肢を広げています。
「休みが取れない」というのは、もはや昔の話です。
Q3:未経験や女性でも、力仕事についていける?
「重い荷物を毎日持ち上げるのは、体力的にきつそう」と感じていませんか?
実は、現在の物流現場は大きく様変わりしています。
機械化で「手積み・手降ろし」が激減
特に10トン車のような大型トラックでは、フォークリフトやパレット、パワーゲート(昇降装置)を使って積み降ろしを行うのが標準になっています。
つまり、「大きな荷物ほど手で触らない」のです。重量物を直接持ち運ぶ機会は、想像以上に少なくなっています。
もちろん、小型トラックでの宅配や小口配送では手作業もありますが、それでも補助器具や台車を活用するなど、体への負担を減らす工夫が進んでいます。
女性ドライバーが活躍できる職場環境

山口県内でも女性ドライバーは着実に増えており、フォークリフトの操作に長けた女性も珍しくありません。
業界団体は、女性が働きやすい職場づくりを積極的に後押ししています。
休憩施設の整備や、育児と両立できる勤務シフトの導入など、ハード・ソフト両面でのサポートが広がっています。
体力より技術が求められる時代に
「力仕事だから無理」と諦める前に、まず一度、実際の現場を見てみてください。
きっと、イメージとのギャップに驚くはずです。
正しい情報を知れば、トラックドライバーは「ホワイトな専門職」である
転職を考えるとき、不安はつきものです。
しかし、その不安の多くは「古い情報」や「偏ったイメージ」から生まれているかもしれません。
近年、トラック業界は、確実に変わってきています。
労働時間の適正化、給与体系の見直し、現場の機械化など。
何より、「人を大切にする」という意識が、業界全体に浸透しつつあります。

もちろん、すべての企業が理想的な環境というわけではありません。
しかし、正しい情報を持って企業を選べば、ドライバーは立派な「ホワイトな専門職」と言えます。
安定した収入、計画的な休日、そして社会を支えるやりがい、その全てが、ここにはあります。
不安を感じている方は、まずは正確な情報を集めてみてください。
そして、実際に現場を見て、話を聞いてみてください。きっと、あなたが思っていた以上に、トラック業界は魅力的な選択肢になっているはずです。
参考:
・山口経済研究所「10年後・20年後の山口県経済」
・中国地方整備局「一般国道2号 富海拡幅」
