トラックドライバーの年収はいくら?職種別年収と2024年問題の影響まで

「トラックドライバーって実際どのくらい稼げるの?」

「2024年問題で給料は下がったの?」

そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、トラックドライバーの年収を職種別に紹介します。

さらに、2024年4月から始まった時間外労働上限規制(いわゆる2024年問題)がドライバーの収入に与えた影響と、業界全体で進む待遇改善の動きについてもお伝えします。

トラックドライバーの職種別年収の実態

トラックドライバーといっても、運転する車両の大きさや担当する業務により年収は大きく異なります。

まずは2025年8月現在の職種別の平均収入の推定値を見ていきましょう。

全体平均年収:450〜460万円程度

トラックドライバー全体の平均年収は約450〜460万円と推定できます。

これは全産業の平均と比較しても高い水準と言えます。

ただし、車両の種類や担当業務によって大きく幅があるのが実情です。

大型トラック運転手:480〜490万円程度

大型免許が必要で運転技術も求められるため、中小型と比べて高めの設定になっています。

ただし、2024年問題の影響を最も受けやすいのもこの職種です。

これまで長距離運行で多くの残業代を稼いでいた分、労働時間規制により収入減少の影響が大きく出ている場合もあります。

中小型トラック運転手:約430〜440万円程度

主に地域配送や中距離輸送を担当するため、生活リズムも比較的規則正しく、プライベートとの両立がしやすい働き方です。

2024年問題の影響は大型に比べて軽微で、むしろ大型から中小型への転職を検討するドライバーも増えています。

長距離・けん引(トレーラー):500万円〜750万円程度

長距離輸送やけん引(トレーラー)運転手は、特に高収入が期待できる職種です。

年収500万円以上は当たり前で、経験豊富なドライバーや専門的な輸送を担当する場合は、750万円程度の収入を得ることも可能です。

高度な運転技術と豊富な経験が必要ですが、その分しっかりとした収入を得られる分野と言えるでしょう。

トレーラードライバーの年収

収入を左右するさまざまな要因

車両の種類だけでなく、運行距離・各種手当・歩合給・勤務地域・運転経験年数等によって収入は大きく変わるため、上記はあくまで平均的な金額です。

同じ職種でも、会社の給与体系や担当ルートによって100万円以上の差が出ることも珍しくありません。

参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

2024年問題がトラックドライバーの収入に与えた影響

2024年4月から、トラックドライバーにも年960時間の時間外労働上限規制が適用されました。

しかし実は、「2024年問題」の前から、トラック業界では段階的に働き方改革が進んでいたのです。

そして現在、業界を挙げた抜本的な待遇改善の取り組みが本格化しています。

割増賃金率変更が与えた影響

2023年4月、中小企業でも月60時間を超える残業をした場合の割増賃金率が50%に引き上げられました。これは業界にとって大きな変化となりました。

これまでは中小企業の場合、どれだけ残業しても割増賃金率は25%のままでした。

しかし新制度では、月60時間以下は25%、月60時間を超えた分は50%の割増賃金を支払わなければなりません。

つまり、長時間残業をすればするほど、会社にとってコストが高くなる仕組みに変わったということです。

この制度変更により、多くの運送会社が「長時間残業に頼る働き方」からの脱却を真剣に検討し始めました。

2024年問題による決定的な変化

割増賃金率の変更により働き方の見直しが始まっていた中、2024年4月の時間外労働上限規制が決定的な変化をもたらしました。

トラックドライバーの賃上げ

年960時間(月平均80時間)の上限規制により、これまで長時間の残業で収入を確保していたドライバーにとって、働き方の見直しが必要となったのです。

特に長距離輸送を担当していた大型トラックドライバーは、収入面での影響が生じているケースが報告されています。

国からの賃上げ要請と業界の対応

こうした状況の中、令和7年4月8日、国土交通省から全日本トラック協会に対して重要な要請が行われました。

その内容は「ドライバーへの賃上げ」と「適正な価格転嫁」の推進です。

これは業界として、単に労働時間を制限するだけでなく、残業代に頼らない基本給の向上を目指す方針転換を意味します。

国が業界に対して積極的な賃上げを要請するという、強いメッセージが発信されました。

運送料金の適正化により、ドライバーの基本給アップの原資を確保する動きが加速しています。

業界全体で抜本的な待遇改善に本格的に取り組む姿勢が明確になっています。

基本給重視の給与体系への転換が本格化

現在、多くの運送会社が時間外労働に依存しない給与体系への見直しを積極的に進めています。

  • 所定内給与の上昇による安定した収入の確保
  • 運行手当や安全手当などの各種手当の充実
  • 成果に応じたインセンティブ制度の導入
  • 資格取得支援による専門性向上とそれに伴う昇給制度の整備

この変化を機に、より安定した基本給重視の職場への転職を検討するドライバーも増えているのです。

つまり、業界全体で持続可能な働き方への転換が加速しています。

残業代に頼らない、働きやすくて稼げる業界への変革が進んでいるのです。

参考:全日本トラック協会「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」国土交通省「【令和7年4月8日】 中野大臣がトラック運送業界に対して価格転嫁及び賃上げを要請」

トラック業界の収入と今後の見通し

トラック業界は、2024年問題を機に大きな変化が起きています。

2023年の割増賃金率変更、2024年の時間外労働上限規制、そして国からの賃上げ要請という三段階の変革により、これまでの残業代依存から基本給重視の給与体系への転換が本格化しています。

物流業界の未来

一時的には収入面での影響を受けるケースもありますが、業界全体で抜本的な待遇改善に取り組む姿勢が明確になっています。

長期的に「より働きやすく適正な収入を得られる職業」として生まれ変わろうとしている、ということを意味します。

物流は社会インフラとして不可欠な存在で、ECの普及により需要は右肩上がりです。

残業に頼らない、働きやすくて稼げる業界への変革期にある今こそ、トラック業界の真の魅力を知る良い機会と言えるでしょう。