40代未経験からトラックドライバーへ – 息子の勧めで見つけた「ストレスフリーな働き方」

医療業界で15年以上働いた後、40代後半で未経験からトラックドライバーに転職した女性ドライバーがいます。

山口県萩市の有限会社吉部運送で働く彼女に、「ゆとりのある働き方」を実現する職場環境について、リアルな体験談をお聞きしました。

転職のきっかけは人間関係のストレスからの解放

―ドライバーになったきっかけを教えてください。

吉部運送に入社する前は、15年以上医療業界に従事していました。

人間関係で悩み転職を探していたところ、吉部運送に勤務している息子から中型トラックドライバーの求人の話を聞きました。

40代後半の転職、しかも未経験であることから、最初は悩みました。

しかし、悩むよりも行動をと思い、求人の必須要件だったリフト資格を取得するために教習所に通いました。

4tトラックの運転歴もない未経験者で入社したのが2024年の5月です。

ハンドル操作の感覚の違いなど、普通乗用車と異なる部分が多く、始めは苦戦しましたが、先輩ドライバーの丁寧な指導のもと、毎日勉強させていただきました。

そんなとき、会社からトラックの運転のノウハウを知るためにも、中型限定解除をかねて教習所へ通わないかと提案を受け、仕事のかたわら教習所に通い始めました。

教習所の費用は全額会社が負担してくださったので、とても助かったのを覚えています。

いろいろな失敗や常務からのお説教もありましたが、運転にも慣れ、ストレスフリーな毎日を過ごしています。

配慮とやりがいに支えられた1日のスケジュール

―現在の勤務時間と1日のスケジュールを教えてください。

5時30分に出勤し、アルコールチェックや日常点検を済ませた後、5時40分に配送のために北九州へ向かいます。

高速道路を利用し、途中で休憩をしながら、7時30分頃に1カ所目の荷卸し場へ到着。

品目ごとにリフトで所定の場所へ卸し、持ち帰りの荷を積み込みます。

他の大型トラックやトレーラーも入ってくるので、邪魔にならないように荷役し、ドライバーさんと談笑したりしています。8時頃には2カ所目へ行き、今度は手卸しで荷を卸します。

月に1~2回は金具が入ったコンテナを持ち帰るのですが、女で腕力もないので手積みが本当に大変で時間を要します。

しかし、この作業があったときには会社が手当を別で支給してくださるので頑張っています。

北九州での業務が終わったら、高速道路を利用し萩での積込み時間までに帰ればよいので、燃料を入れて洗車したり、コンビニやディスカウントストア、ホームセンターへ行ったりしています。

10時頃に高速道路のパーキングエリアで休憩し、トラックの中で自由に過ごしています。吉部運送では1人に1台、自分専用のトラックが与えられるため、トラックの中が自分のプライベート空間そのものになり、動画を見たり、仮眠をとったりしています。

ほぼ同じ行程で動くためか、いつも見かけるパーキングエリアの清掃スタッフの方とも仲良くなれました。

12時30分に萩の荷積み場へ到着し、荷積みを開始。

最初の頃は積み込むだけで大変でしたが、今はスムーズに卸せるよう、品目ごとに積み込むなど、少しは余裕を持って積込みができるようになりました。

積込みを終えた後は次の荷積み場へ向かうために日本海沿いを走ります。

2カ所目の荷積み場までの道中は道が狭く、トラックの幅がぎりぎり通過できるぐらいの場所も。このため、運転に慣れてない最初のうちは、会社のハイエースバンで配送をしていました。

2ヶ月ほど経った頃に、大型トラックに乗務している息子指導の下、中型トラックでチャレンジ。最初は恐い気持ちもありましたが、道中の気をつけるべきポイントをしっかり確認しおさえていくことで、今は余裕を持って行けるようになりました。

2カ所目の荷積みが終わると、再び休憩を取りながら3カ所目へ向かいます。

3カ所目は山間部地域の荷積み場。この地域は標高300~400メートル程度に位置しています。

冬季は積雪による不安もありますが、大雪の恐れがあるときは会社が事前に運休の措置を取るなどの対策をしてくださるので助かっています。

この場所での荷役が終わったら積み置きの状態で帰社し、その時間が15時30分頃になります。

働き方改革で実現した「ゆとりある運行」

―2024年の働き方改革以降で、「変わったな」と感じることはありますか?

2024年5月からの勤務のため、以前の状況はわかりません。

しかし、全線高速道路の利用や、長めの休憩時間など、余裕のある運行のため、きちんと会社が対応されている結果なのだと思っています。

ドライバーの「安全・安心」を支える手厚いサポート体制

―吉部運送で働いていて、「安心できるな」と思うポイントはありますか?

手厚いサポートです。

わたしたち従業員の要望があれば、会社の上層部でスピード感を持って対応してくれるため、働きやすい環境づくりをしてくださっていると実感できます。

特に台風や積雪など、悪天候時の運行では、運行管理者や他のドライバーも気に掛けてくださいます。雪のシーズンで道路が通行止めになった時には、心配の電話や工場との荷積み時間の調整などのサポートにより、運転に集中することができました。

吉部運送に入社してからはストレスもなくなり、自分らしく生活できていると感じています。人と関わることが嫌でしたが、荷積み場の方や他のトラックドライバーとの談笑は楽しく、事務所では常務とくだらない話もできて、毎日楽しく仕事ができています。

運転中は好きな音楽を聴いたり、パーキングエリアでおやつを食べながら動画を見たり、落ち着く空間だと感じています。未経験者でも安心して働くことができる会社です。

心と時間に「ゆとり」のある新しい働き方

40代後半での未経験転職でも、適切なサポート体制と「ゆとりのある運行スケジュール」があれば、ストレスフリーな働き方が実現できることが分かります。

高速道路の全線利用、しっかりした休憩時間、そして従業員の声に耳を傾ける会社の姿勢が、彼女のストレスフリーな働き方を支えています。

最後に彼女からひとこと。「最後に1つ欲を言わせていただければ、トラックでの寝泊まり時の手当を検討してほしいです!会社の上層部の皆さん、ご検討よろしくお願いいたします(笑)」

次回は、同じく吉部運送で働く別のドライバーの方の働き方についてお届けします。