近年、物流・運送業界を含む、すべての産業で、DXの推進が喫緊の課題となっています。キチナンロジスティクス/キチナントランスポートなど、物流事業を多数展開するキチナングループ株式会社も、DXによる効率化に注力する企業の一つ。経営サポート部 DX推進室 大和 究彰課長代理に、グループ全体におけるDXの取り組みやその背景、今後の展望などを伺いました。
キチナングループさんが、DX推進を始めた経緯を教えてください。
大和 究彰さん(以下、大和):現在、代表を務めている井本の社長就任以前から、システムの導入や、それらの活用による業務の効率化に積極的に取り組んでいました。社内のチャットツール、Googleワークスペースを使った共同編集など、コラボレーションしやすい業務の仕組み作りを、随時進めていました。
私は元々、当社では総務や経営管理に携わってきて、勤怠管理システムなど、システム導入にもいくつか関わってきました。決裁ツールなどグループ全体のバックヤード、そしてフロントエンドもシステムが一通り揃った状態で、2023年6月からDX推進室で業務を行っています。
ーDX推進室ではこれまでどのような施策に取り組んできたのでしょうか。
大和:DX推進室に配属されて、即システム導入を進めたわけではなく、まず初めに業務マニュアルの作成を行いました。新入社員の定着率の向上や、いかにスピード感をもって一人前になってもらうか、即戦力化していくかが、労働集約的な運送業にとっては必要なことでした。業務の「見える」化に着手することで、非効率な業務がどこにあるのかを洗い出し、結果として、何をシステム化するか選定していく流れとなりました。
運送業でのシステム導入はまだまだこれからというところなのですが、キチナントランスポートでは、配車から請求、台帳管理まで一括で管理できる、トータルでパッケージされたクラウドシステムを導入しています。
マニュアル作成を行っていた際に、配車業務が負荷の大きい作業として挙がったことが導入の背景にあります。
というのも、従来の配車業務では、Googleスプレッドシートを4,5つ使って配車などの情報を転記していて、作業に必要な情報やデータが一元化されていませんでした。長期的な配車の管理、月次で確認する1日1日の案件管理、ドライバー一人ひとりがどこを回るかの配車表、お客様に提出する車番の連絡票…さらに請求書など、全てが分散された状態だったんです。
配車担当者が配車の情報を入力すれば、すべて網羅できる仕組みにしたことで、業務負荷を大きく軽減することができました。
ー現場からは良いフィードバックが得られましたか?
大和:目に見えて成果が出ましたね。キチナントランスポートの配車担当者は、いかにドライバーさんを大事にするか、ケアに時間をかけているので、業務がスムーズに進行できるようになったことは、会社全体に貢献していると感じています。
配車担当は従来、ドライバーがどの経路でどれくらいの時間をかけて回るのか熟知している、経験豊富なベテラン従業員が行うことが多かったのですが、キチナンロジスティクスでは大卒の新入社員が配車を担当することもあります。
これからはキチナンロジスティクスでも、新入社員が安心して業務を進められるシステムを構築することで、定着率の向上や業務負荷の低減に繋げていきたいです。
<後編はこちら。>
(text by Yuka Shingai)