物流の「2024年問題」を考える・その② 現場はドライバー不足をどう捉えているの? 株式会社グローバル・河口課長インタビュー

人材不足、労働力不足は、全ての業界に共通する、日本全体として取り組む必要がある社会問題です。一方で、運送・物流業界での人手不足は「2024年問題」を加速させる一因として、とりわけ大きく取り上げられています。

実際に、日々運送・配送業務を行う事業者では、人材不足をどのように捉えているのでしょうか?現場での体感を、株式会社グローバルの河口課長に伺いました。

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ー河口さんは、ドライバー業を経て、現在運行管理者業務に携わっているとお伺いしました。現場のことも熟知した上で、バックヤード側にも精通している立場として、採用や求人について感じるところはありますか?

株式会社グローバル・河口課長(以下、河口):最初に言っておくと、より多くの人に入社してほしいですし、常に人材は募集しているので、人材不足は事実です。ただ、「トラックドライバーは激務でキツいから、どんどん離職してしまう。それが人材不足の要因」と、勘違いされていないかという懸念もあります。

ー報告書のデータからは、ドライバーの担い手がどんどん減少している印象を受けますが、そのあたりをもう少し詳しくお伺いできますか?

河口:私が現役ドライバーだった時代は実際、「稼げるけどハードな職業」というイメージが強かったかと思います。昼も夜も関係なく、長時間仕事をして、たくさん稼ぐ時代があったのは事実ですね。

そこからワーク・ライフバランスなどの観点から、2024年4月から働き方改革関連法が施行されました。これによって、ドライバーは、より臨機応変な働き方を選べるようになったということです。

ドライバーは夜勤があって大変という見方もできますが、夜にトラックを走らせて、日中は自分の希望通りの過ごし方ができるという考え方もあると思います。

一方で、当社には子育て中の女性スタッフもいるので「子どものお迎えがあるから、夕方は18時までで終業したい」という考え方もありますし、その希望に沿えるような仕事を手配しています。ですから、ドライバー自身が望む働き方ができるような変化を迎えているのだと個人的には思っています。

ー「なり手がいなくて大変!」というイメージが先行しすぎているということでしょうか。

河口:実際、もっと人材が欲しいとは思っていますよ。だって仕事は24時間あるわけですから。とにかくこの業界は需要がたくさんあるんです!誤解されたくはないのですが、忙しさのあまりにドライバーがどんどん離職しているわけではないんですよ。いま働いているところで条件が見合わなければ、より良い条件のところに移動する、というのが起きている状態なんです。中には「もっと働きたい!」というドライバーだっているだろうと思います。

ですから、「2024年問題」と言われている今が、事業者としても改善して、雇用を増やしていく狙い目なんじゃないかなと思っています。面接に来てくれる未来のドライバーにも、どんどん「こういう条件で働きたい」と伝えてほしいですし、人材確保するためにも事業者側はより良い待遇に向けてアイデアを出せるときですから。

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ーたとえば就職氷河期などを経験していると「自分の希望を言ったら、採用してもらえないんじゃないか」と思ってしまう人もいるのではないかと思います。

だけど求職者も遠慮する必要はないということですね。

河口:当社は従業員の平均年齢が41歳、ドライバーは40歳以下がメインの若手が多い会社です。運行管理者も30代が中心ですから、とにかく活気があって、「業界ナンバーワンを目指そう!」なんて話しています。

ドライバー業務が未経験でもいちから丁寧に教育して、育成していきますし、本人の意思とこちらの間に齟齬がないように、面接では希望する働き方や、時間などの制約があるのなら正直に伝えてほしいと思っています。本当はできないのに、無理して「できます!」なんて面接で言う必要はないんですよ、

それってお互いにとってメリットがないじゃないですか。どんな条件だろうと、仕事は十分すぎるほどあるので、求職者の方のやる気を重視して、マッチする仕事を探してお願いしたいというのが本音です。

当社では、よりよい仕事を提供するために、土曜日にミーティングを実施することがありますが、そこにも時間外の勤務として給与が発生しますし、頑張ってくれているドライバーを全力でサポートしようと考えています。

当社に限らず、業界全体がより良い人材を確保したい、より良い会社になっていきたいと奮闘している時代です。少しでもドライバー業務に興味があれば、臆せずに応募してほしいです。